それはとっくに恋だった
『お前は気づいてなかったかも知れないけど、俺と梨央は高校1年の時、うまくいってなかったんだ。』

「え?」


思いもよらない話だった。


『お前は何言ってんだって思うかも知れないけど、俺、お前の気持ちを知ってたのにお前に何も言わずに抜け駆けみたいに梨央に告白してこと後悔してた。

 梨央は梨央で、俺とお前の関係がおかしくなったのは自分のせいだって自分を責めてた。

 ずっと3人だったのに、急に2人になってどうしたらいいのかわかんなくて。梨央のことは好きなのにうまくいかなくて、イライラして。余計にうまくいかなくて。その悪循環だった。


 それがさ、お前が真尋ちゃんに話しかけるようになって。それで梨央とも普通に話すようになったろ?

 それまでお前が、無理してるのがバレバレだったのに、なんか普通の笑うようになって。ズルいとは思うけど、そのお前の笑った顔見てたら、なんか罪悪感が薄れて行った。』


達也がそんなこと思ってるなんて思いもしなかった。

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