それはとっくに恋だった
「ネクタイ変じゃない?」


「変じゃないよ。」


「手土産これでいいのかな?」


「いいと思うよ。」


「なぁ、靴は・・・」



「颯太。その質問、もう何回も聞いたよ。大丈夫だよ。頭のてっぺんから足の先まで完璧だよ。自信持って。」



「う、うん。」


俺らは家を出た。


真尋の家までは電車で向かう。



途中、俺の地元を通る。見慣れた景色を通り過ぎると、俺の緊張はピークに達した。


真尋も、実家に帰るとはいえ、結婚の挨拶だし、お父さんには妊娠の報告もしていない。


きちんと許しを得られるか、やっぱり不安はあるようだ。
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