榛色の瞳を追って
「昭男ちゃんは今いくつなんだっけ?」

「12歳になります。 鼎尋常小学校5年生です」

大きくなったら高等小学校に進んで、海軍の予科練に入ります──と、末の弟は聞かれてもいないことまでスラスラと答えました。 彼の将来の夢は海軍の航空兵。 機械なら何でも分解して組み立ててしまうのです。

「立派な子だね。 頑張ってね」

「はいっ」

次は妹のあさ。 9人きょうだいの8番目で、昭男とは年子の鼎尋常小学校6年生。 私より4歳年下なので13歳です。

「あさちゃんはどこか働きに出るんだろうね」

「私ね、机に向かって勉強するより身体を動かすほうが好きなんだ」

「活発でいいねぇ」

彼女は毎日遊ぶことしか考えていない子で、女学校への進学は母が諦めています。 でも、風邪ひとつ引いたことがない丈夫な子なのでどこかに働きに出したら役に立つでしょう。

「正男ちゃんは?」
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