榛色の瞳を追って
「あれぇ、牧師さんとこのちーちゃんじゃないの」
駅の商店街に出ると、顔見知りの肉屋さんの大奥さんに声を掛けられました。 日曜礼拝でもよくお目にかかるのです。
「どうして判ったんですか?」
「そりゃ判るよぉ、こんな時期に傘差して歩くのはあんたくらいだもん」
女学校の帰りにたまに立ち寄っていた甘味処は通り沿いにあるので、この一帯の人たちはみな友達です。
ふと、こんな考えが湧きました。
肉屋さんに味付け海苔を分けてもらうのです。 勿論店頭で売っているはずはないですが、家族用に買っていたらと思って。
「あの、味のついたお海苔はありませんか?」
「味付け海苔? 普通のお海苔ならあるんだけどねぇ」
「そうですか…」
かといって、昼間から一軒一軒訪ね歩くのも変な話。 この時間帯だと海苔屋さんもお昼休みで買えないのです。 結局、この日は味付け海苔を手に入れることが出来ずに私はカレーを食べ損ない、宗一さんからたっぷりお叱りを受けました。
駅の商店街に出ると、顔見知りの肉屋さんの大奥さんに声を掛けられました。 日曜礼拝でもよくお目にかかるのです。
「どうして判ったんですか?」
「そりゃ判るよぉ、こんな時期に傘差して歩くのはあんたくらいだもん」
女学校の帰りにたまに立ち寄っていた甘味処は通り沿いにあるので、この一帯の人たちはみな友達です。
ふと、こんな考えが湧きました。
肉屋さんに味付け海苔を分けてもらうのです。 勿論店頭で売っているはずはないですが、家族用に買っていたらと思って。
「あの、味のついたお海苔はありませんか?」
「味付け海苔? 普通のお海苔ならあるんだけどねぇ」
「そうですか…」
かといって、昼間から一軒一軒訪ね歩くのも変な話。 この時間帯だと海苔屋さんもお昼休みで買えないのです。 結局、この日は味付け海苔を手に入れることが出来ずに私はカレーを食べ損ない、宗一さんからたっぷりお叱りを受けました。