白くなったキャンバスに再び思い出が描かれるように
「叔父さんで悪いですね。お母さま」と皮肉っぽく沙織は返した。でもその顔は幸せそうだった。
3人でビールを飲んでいる時
「ねぇ、あなた達早く子供作りなさいよ。証拠として」
やっぱり親子だと思った。
「もう、さっき達哉とも話していたのに」
「あら、そうなの」
「そうよ、でもね子供が出来たら私、その子と達哉一緒に私の一番大切な想いになるから、そうなれば二人とも私消しちゃいそうだからダメなの」
そう言って沙織は臆することなく言う。
「あらそれじゃ、私が生んであげるわよ。達哉さんの子。そうすれば、沙織と兄弟になるじゃない」
「ちょっと、私と年離れすぎていない。兄弟なんて」
「いいじゃない。それにまだ産めるわよこの体。生理もバッチリ来てるし、第一性欲だってほら」と言いながらその大きな胸を下から揺さぶった。
沙織はその姿を見ながら真面目に考えて
「そ、それならいいかも」なんて言ってきた。
「だって、もともとは私お母さんから生まれて来たんだから、元は一緒じゃない。それに兄弟として生まれてくるんだったら私忘れないと思う。その子の事」
「あら、それじゃ今からお風呂入って来なくちゃ」
「いけぇ、達哉ぁ。お母さんを抱いて子供うませろう」
といいながら、酔いつぶれて寝てしまった。
「おい、沙織。沙織、もう酔っちゃったのか」
そう沙織に言う僕を見つめてお母さんは
「ありがとうね、達哉さん。こんな娘を好きになって、こんなにも愛してくれて。この子はとても幸せよ」
涙を流しながら、愛おしそうに沙織を見つめた。
「いえ、そんな事。僕の方こそこんなに素晴らしい人を愛せるんだから幸せです」
それを訊いてお母さんは嬉しそうだった。そして
「ねぇ、達哉さん。さっきの事なんだけど。私は本気よ」
「ええ、第一お父さんが許しませんよ」
「あら、あの人だったら許してくれるわよ。娘の頼みなんだもの」
と、その誘いに反応している自分がいた。
「あ、あの。い、今は……考えさせてください」
「あら、そうぉ。いつでも言ってね。私は何時でも大丈夫よ」この人は本気だと思った。流石オープンな性格。いやどうなんだろうと考えてしまった。