白くなったキャンバスに再び思い出が描かれるように
そのキャンバスに***
  ***そのキャンバスに***

 *白くなったキャンバスに再び思い出が描かれるように*



  偶然だった。いくらこの街に来ていたとしても、確率がどれだけ高くなったのか。そんなのびびたるものだ。
 それなのに、僕は沙織と出会ってしまった。

 沙織は元気そうだった。相変わらず綺麗で優しく、無邪気で……

 沙織が僕から本を受け取るとき、少し指が触れた

 どれだけ、そのまま手を取りその場で沙織を抱きしめたかったか。

 今、さっき沙織は僕の視界から消えた。

 沙織は元気そうだった。
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