白くなったキャンバスに再び思い出が描かれるように
 美野里は北海道に行ってから系列の大学病院で声が出せると診断された。彼とはその大学病院で知り合ったそうだ。研修医として美野里を一緒に担当し、手術をして一緒にリハビリをして、今ようやくここまで話せるようになったんだと。


 美野里のサプライズは大成功した。会場から割れんばかりの拍手と目頭を押させる人々が皆暖かく祝福してくれた。

 美野里とその彼。そして僕に……

 僕らが帰るとき美野里が、まだ長く続けて話せないが、また会えることを願い頑張ると言ってくれた。

 美野里はもう立派に自分の道を歩いている。共に寄り添う人と共に。美野里は人生と言う中でこれからの幸せを掴んだんだと思った。


 そして、僕は心にまた誓った。

 僕は小説を書く。物語を書く。沙織に道しるべを残しながら僕は描(えが)くあの思い出を。
 綺麗に張り替えたキャンバスに。

 白くなったキャンバスに僕は描く。

 沙織との思い出を……これからも……

                 
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