白くなったキャンバスに再び思い出が描かれるように
 「さ、みんなピークタイムよ。気合い入れていきましょ」

 みんな口をそろえて「ハイ」と返事をした。

 「それでは亜咲君よろしくお願いします」

 「ハイよろしくお願いします」と言って僕はホールへ向かった。


 
 沙織さんに好きだと言って一緒に朝を迎えてから僕はほとんど毎日のように沙織さんと会っている。

 あの日の朝、僕はいつものように起き上がり、僕の横で可愛い顔で寝ている沙織さんを起こさない様に朝食の準備をした。と言っても冷蔵庫にあるものであり合わせで作る朝食。

 出来上がったコーヒーをカップに注ぎ、ベットの前のテーブルに置いた。そして気持ちよさそうに寝ている沙織さんのほっぺに軽くキスをした。

 ううん、と言いながらゆっくりと目を開けた。

 「おはよ。コーヒー出来たよ」


 僕の声と次第に鮮明になる僕の姿を見て「ハッと」して起き上がった。そして今、自分の体に何も着けづ上半身の胸があらわになっているのに気づき、慌てて胸を隠すように毛布をたぐり寄せた。


 それを見て笑いながら僕は「目覚めましたか」と言うと頬を膨らませて「知らない」とすねた様にそっぽを向いた。その表情としぐさがたまらく可愛い。


 「朝食もう少しで出来るから、シャワー浴びておいで」

 沙織さんはそれを聞いて頷きながらあたりをきょろきょろ見回している。「どうした」と聞くと小さな声で「下着」と呟いた。

 僕はベットの端の方に服と一緒に綺麗に畳んであるのを指さして

 「覚えてないの。いきなり起きて服畳始めたと思ったら、またおやすみなさいって言って寝ちゃうんだもん」

 沙織さんは見る見るうちに赤くなり「ん、もう知らない」と言ってつかむ毛布を振り払う。


そして彼女の体があらわになった。思わずキスをして彼女の体を抱き抱える。


 今日の講義は?、彼女は無いと呟き僕もないと答えた。そしてまたキスをした。


 メニューに合わない味噌汁付きの朝食はお預けになった。

 今日はナッキから目覚まし電話なかったね。

 その日の昼過ぎ沙織さんは家に帰り、その後僕はバイトに向かった。


 試験勉強は、沙織さんとナッキを含め3人で行った。意外と共通する部分が多かったからだ。
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