白くなったキャンバスに再び思い出が描かれるように
「あれ亜咲君、まだタイトルないの」
「ええ、済みません。まだタイトル決めていないんです」
「ふうんそうなんだ」と言って彼女は画面に目を向き始めた。
僕は地道に書類を束ね始めた。
一時間くらいの時間が過ぎただろうか。ふう、言うため息に気が付き「終わりましたか」と訊くと「ええ」と返ってきた。
「十二万六千八百字か。まあまあね」
僕は作業を止め彼女の方へ行った。そして
「部長どうでした」
彼女はふんとして、
「まぁいいんじゃない素人が趣味として書く分には」
「え、それはどういう意味ですか」
仮にも僕はプロの作家を目指している身だ。彼女の言う「素人の趣味」として書いている訳じゃない。
「どういう意味ってその通りよ」
「それは僕の書いたこの小説が駄目だと言っているんですか」
「そうは言っていないでしょ。素人の趣味としては良く書けている方じゃない」
「素人の趣味って。僕も一応プロの作家を目指していることは部長も知っていると思いますが」
彼女は顔色一つ変えず「ええ知っているわ」と答えた。
「それならどうして素人の趣味なんていうんですか」
僕は声を大きくしていった。
「あら、傷ついちゃった。プロを目指す人が自分の作品にケチを付けられて」
「ケチだなんて、ちゃんと批評してくれと言ったじゃないですか」
僕は部長が批評してくれることに期待していた。実際に今プロとして作家としてその名を出している彼女に。
「そこまで言うならしてあげるわよ。プロの作家としてこの小説がどうなのかを」
部長は立ち上がり僕の方を怖いくらいの眼力で睨み倒した。
そして僕に座るように言った。彼女の角の席に
「始めに言っておくわ。この作品多分どの大賞に出したとしても、そして、相当のあまあまの評価選任が選考したとしても、いいところ選考出止まりね」
僕は血の気が引くのを感じた。選考止まりと言う言葉に。
「でもね、全てが悪いわけじゃない。各主要描写を短編にしてそれを組み込んだ形式はいいと思うわ。それにその短編の描写も良く書けている。二人の主人公の目から見た二人称。それぞれにその心理や心の動きなんかもいいと思う」
「それじゃ、何が部長は引っかかると言うんですか」
気を引き恐る恐る部長に訊いた。
「ええ、済みません。まだタイトル決めていないんです」
「ふうんそうなんだ」と言って彼女は画面に目を向き始めた。
僕は地道に書類を束ね始めた。
一時間くらいの時間が過ぎただろうか。ふう、言うため息に気が付き「終わりましたか」と訊くと「ええ」と返ってきた。
「十二万六千八百字か。まあまあね」
僕は作業を止め彼女の方へ行った。そして
「部長どうでした」
彼女はふんとして、
「まぁいいんじゃない素人が趣味として書く分には」
「え、それはどういう意味ですか」
仮にも僕はプロの作家を目指している身だ。彼女の言う「素人の趣味」として書いている訳じゃない。
「どういう意味ってその通りよ」
「それは僕の書いたこの小説が駄目だと言っているんですか」
「そうは言っていないでしょ。素人の趣味としては良く書けている方じゃない」
「素人の趣味って。僕も一応プロの作家を目指していることは部長も知っていると思いますが」
彼女は顔色一つ変えず「ええ知っているわ」と答えた。
「それならどうして素人の趣味なんていうんですか」
僕は声を大きくしていった。
「あら、傷ついちゃった。プロを目指す人が自分の作品にケチを付けられて」
「ケチだなんて、ちゃんと批評してくれと言ったじゃないですか」
僕は部長が批評してくれることに期待していた。実際に今プロとして作家としてその名を出している彼女に。
「そこまで言うならしてあげるわよ。プロの作家としてこの小説がどうなのかを」
部長は立ち上がり僕の方を怖いくらいの眼力で睨み倒した。
そして僕に座るように言った。彼女の角の席に
「始めに言っておくわ。この作品多分どの大賞に出したとしても、そして、相当のあまあまの評価選任が選考したとしても、いいところ選考出止まりね」
僕は血の気が引くのを感じた。選考止まりと言う言葉に。
「でもね、全てが悪いわけじゃない。各主要描写を短編にしてそれを組み込んだ形式はいいと思うわ。それにその短編の描写も良く書けている。二人の主人公の目から見た二人称。それぞれにその心理や心の動きなんかもいいと思う」
「それじゃ、何が部長は引っかかると言うんですか」
気を引き恐る恐る部長に訊いた。