蝶と空

「本当にいいの?」


美樹は、また不安そうに私に言った。


「うん。いいよ」


私は呆れてそう言った。



「じゃあ、いくよ」



美樹がそう言った瞬間、私の感覚のないはずの耳に、なんとも言えない痛みが走った。


「いたっ…」

「大丈夫?!もう終わったよ!」

「うん…ありがとう」


私は美樹に苦笑いをした。

「耳に穴開けるのって、こんなに痛いものなんだね」

「もっと冷やせばよかったかな?」



病院でこんなことするなんておかしいけど、ずっとずっと、付けたかった。

あなたからもらったピアスを。

私は我慢できなくて慣れている美樹にお願いをし、買ってきてもらった。


「少しの間は耳が塞がらないように、これを付けるの」

美樹から白くて軽いピアスのようなものをもらって、それをしばらく付けることになった。



早く付けたい。

学校の校則なんて、もうどうでもよかった。


一日でも早く


付けれる日がくるといいな。


< 103 / 112 >

この作品をシェア

pagetop