蝶と空


「美樹…美樹…。」



透明なガラスの向こうに眠る美樹を、私は見つめることしかできなかった。



付け睫毛に更にマスカラ付けた長い睫毛。

茶色に染めた明るい髪。


薄い眉。


手首にはの銀のブレスレット。



美樹はいつも派手で。

昔の私はそこがあまり好きになれなかった。


なのに今はこんなに近くにいる。



愛しいと思う。



心配でしょうがない…。






私は自分の服の袖をギュッと掴んだ。


心臓がうるさいくらいに鳴っている。




こういう時、人は泣けないものなんだ。


不安でしょうがなくて


でも何もできなくて。




だから余裕がない。


泣く余裕なんてない。





.
< 112 / 112 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:7

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

マチルダ
こうめ/著

総文字数/4,094

ミステリー・サスペンス10ページ

表紙を見る
あじさい少女
こうめ/著

総文字数/9,324

ファンタジー24ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop