蝶と空
「お風呂、ありがとう」
私は脱衣所に置いてあった白地にバラ模様の、まるでフランス人形が着るようなネグリジェを着ていた。
これはきっと誰かの物。
「似合うね。可愛い」
「え…」
彼の恥ずかしめもないサラッとした一言で、お風呂で上がった私の熱が更に上がった。
けれど
なぜかこの服を
着てはいけない気がした。
「じゃあ次、俺入ってくるから。そこにあるの食べていいよ」
テーブルの上には、湯気を立てるお皿。
「わあ…ありがとう!」
「ふふっ。大げさだなぁ」
そう言いながら彼は優しく微笑む。
その笑顔に私は見とれてしまう。
「あ!あと…ここ以外の部屋は入らないで。トイレは、廊下出て右」
「あぁ…うん。分かった」
「ん。じゃあ。」
パタン。
最後の彼の笑顔が
なぜかとても
胸を締め付けた。