蝶と空
「スープ、飲めた?」
「うん…!すごく…おいしかった」
「そっか」
少し濡れた彼の髪は、白に近い銀色。
それはすごく綺麗で…
みとれてしまう。
「あんまり食べれないと思って。作ったの俺じゃないんだけど」
そう言って彼は、柔らかく苦笑いする。
「そうなの?」
「あ、でも料理は少しできるんだ。そのスープだって、たぶん作れる」
「ふふっ。そっか」
あたしは気づくと笑っていた。
いつぶりに
本気で、ふと笑ったんだろう。
「もう12時だね。泊まっていきなよ。どうせ家の場所、分かんないんだし」
「うん…」
「といっても…あの部屋じゃマズイしなぁ」
時計にあった目線を、彼は床にずらした。
彼は、あたしの寝る部屋で悩んでいるようだった。
これ以上、迷惑はかけられない。
「あたし、ここで寝るよ」
「ここって…リビング?」
「うん。平気。ソファーで何回も寝たことあるの」
すると彼は、すこし悩んだような顔をして
「決めた」
そう言った。
「何を?」
彼はそう言うと、どこか部屋に行ってしまった。