蝶と空
どこに行っちゃったんだろう…
そう思っていた時。
「っしょ…ドア、開けて!」
両手に何か持っているようで、ドアを開けられない彼。
私は少し慌てて、ドアを開いた。
すると
「俺も、ここで寝るから。安心して」
そう言った。
「……え?」
彼は両手に、二枚の毛布を抱えて持ってきた。
「そんな…!いいよ!」
「分かってるよ。」
そう言って私の頭にポン、と手を置いて、
「いいから。」そう言った。
彼は魔法使いなんだろうか。
私の心を知っている。
自分でも気付かないうちに、これから一人になるのを怖がっていた。
寂しがっていた。
ここにいて、と
心が叫んでいた。