蝶と空
ここは一見、幸せな二つの家族が寄り添う草原かもしれない。
けれど最初から違った。
この時の俺達は何も知らずに、伸び伸びと幸せに暮らしていたんだ。
高木 空、 小5
俺は、少し頑固な父親と優しい母親に育てられてきた。
なぜか家は、広い草原にあって
すぐ隣には同じ家族構成の『高木 紗知』が住んでいた。
年はひとつ下。
彼女は遠い親戚らしくて、でもいとこでもなく。
本当に遠い 遠い
親戚だった。
紗知は本当によく笑う子で。
俺は自分でも知らないうちに好きになっていたのかもしれない。
「紗知、学校遅れるぞ」
「今行くよ!空早いっ」
俺達は幼等部から私立でもかなりの有名なお受験学校に行かされていた。
それでも全く苦ではなかった。
きっと、隣に紗知がいたからだ。
いつも笑って、俺の隣にいたから
だから俺も頑張れた。
ううん違う
もともと頑張ったんじゃなくて
自然に出来ていた。
紗知がいたから。