蝶と空



あれから一週間が経った。

紗知は相変わらず、たまに僕の所に来て泣くんだ。




何も言わずに…




「空、今日家に来て泊まってくれる?」


「え…泊まる?」


「うん!」


紗知は突然、泊まってほしいと言った。



「うん。いいけど」

「本当?ありがとう!空大好き!」


そう言って紗知は、僕にしがみついた。



夜お風呂に入ってから、パジャマに着替えてそのまま隣の紗知の家に行った。




「あ、空いらっしゃい!」

紗知は笑顔で僕を迎えた。


「うん。おばさん、お世話になりますね」


「いいえぇ!なんだか久しぶり、空くんが泊まりに来るなんて」


「はい。おじさんは?」


「あ…その、医学部の会議があってね!帰りは明日よ!」


「そう…ですか…」



おじさんはたしか、医師をしている。


でも…



なんかおかしい。


おばさん、焦ってる。





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