蝶と空
そこには、申し訳なさそうな目をした紗知のお母さんがいた。
「…空くん…ちょっとお話、聞いてくれる?」
「…はい…?」
急にリビングに呼び出され、何かと緊張した。
心臓がばくばく音を立てる
なんか、嫌な予感。
「紗知のことなんだけれど…」
それからたくさんの話を、一気に聞いた。
終わった後には
放心状態になった
だって、いろんな感情が、ぐちゃぐちゃになっていたから。
紗知はここ数ヶ月、父親に虐待を受けていた。
紗知のお母さんは父親に逆らえず、ただ怯えて見てることしかできない。
更に父親は、紗知にこう言った。
「誰かに言ったら、隣の家のヤツらを殺すぞ」 と。
心臓が更に、ばくばく鳴る。
手にじんわり汗をかき、
頭が真っ白になった。