蝶と空
「どういう事ですか。空から聞きました」
父さんのこの言葉から始まって、ずっと大人は話していた。
僕は、父さんに紗知の部屋で寝ていろと言われ、また紗知の隣に横になった。
今、紗知は何も考えずに寝ている。
紗知は
僕を守ろうとしたんだ
自分がどんなに殴られても、
痛くても
僕になにも言わなかった。
涙を流しながら、
ゆっくりと紗知の前髪に触れた。
あ…
そこには、痛々しい大きな傷と痣があった。
こんなに近くに、
分かるものがあったのに。
バカだ。
本当に…
でも、もう大丈夫だよ紗知。
きっと
父さんと母さんがなんとかしてくれるから。
もう、痛くないよ。