蝶と空
「あたしはぁ〜、アイスにしよ!紗知は?」
「…あ…あたしは、コーラ!」
「了解。今日はあたしのおごりにしてあげるよ!」
「ありがとう!」
本当は、
別に飲みたくもないコーラ。
ただ目に止まったから、言ってみただけ。
「おいしそ〜!紗知もアイスにすればよかったのにー」
美樹は出てきたアイスを見てそう言った。
「あははっ。あたし、お腹すいてないからいいよ」
「そっか!紗知はほんっと、小食だな〜」
笑い合う笑顔に埋もれた私。
美樹に本心を言ったことがないと思う。
ううん。きっと言えない。
あたしに"親友"なんて
いない。
みんな友達。
"友達"はあたしにとって、自分をどう良く見せるかの道具にしか見えない。
それでもあたしは…
「ねえねえ、コーラ一口ちょーだいっ」
「いいよー!」
笑顔作って
バカみたい。
こんな自分を認識する自分が
一番嫌い。
結局、最後に好きでもないコーラを必死で飲んだ。