蝶と空




なのに、なのに。






「空、朝ごはん食べたい」


「そうだね。リビング行こうか」



そうして朝ごはんを食べるために、僕たちは温かい毛布から出た。

ひやりとする床に足を置く。




カチャン。


紗知の部屋のドアを開いて、廊下に出た。






「さむ〜い!ね、空!」


「そうだね。早く行こうか」



秋の早朝だ。


息が白くなるほど寒かった。



だから小走りで紗知とリビングのドアへ向かったんだ。





今でも覚えている。



足が痛むぐらいの、床の冷たさ。



二人の白い息と、廊下を駆ける音だけが響いている


静かな空間。









< 41 / 112 >

この作品をシェア

pagetop