蝶と空





夢を


みるようになった








あの草原にひとり、僕が立ってる



すると

あの小さな駆け足が聞こえてきて




「そらぁー!みて!」




「紗知…?紗知!?」





「そら、みて!蝶々!」



周りを見ても、紗知はいない。


声しか聞こえない



「紗知!?どこにいるの?」





返事はない。





「…そら…みて……」



「……そ…ら」



「…そら…会いたいよ…紗知は…そらに会いたいよ…」



そう言って泣くんだ。



そして、最後にまた





「……痛いよ…そら…痛いよお…助けて…お父さんが…ぶつの…」



「紗知!!今行くから!!どこにいるんだよ!!!」



僕はそうやってずっと


泣いて叫んでいるんだ




「さちいぃ!!」








ずっと


叫んでいるんだ



泣きながら



ずっと





君の名前を。








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