蝶と空
「空くん!!」
でも、現実で僕の名前を呼ぶのは
君ではなくて。
「おばさ…ん?」
浅い眠りから覚めると、息の荒いおばさんが僕のベッドの脇にいた。
「紗知ちゃんの…ことなんだけれどね、さっき連絡がきて」
「本当ですか!?生きてるんですね!?」
その後少し、沈黙が続いた。
「おばさん…?」
おばさんは、暗い表情だった
「意識は、戻ったんですって」
「…え?」
意識、
戻った?
紗知が
「じゃあ…!!」
「でもね」
おばさんは、僕の言葉をさえぎった。
「紗知ちゃん、今までの記憶が…まったくなくて」