蝶と空
美しい?
僕が。
こんなにボロボロで
もう何もかも
無惨になくなっているのに
バカじゃないのか
僕はふと笑った。
そして
「美しさって、なんだよ」
彼女から目をそらして言う。
すると彼女は、
「美しさはね、自分が気付かない時にでるものなの。あなた、今すごく美しいもの」
僕の目をはなさないで言った。
「私はローズよ。こっちは、執事のタカ」
そう言うと、"タカ"は僕にそっと頭を下げた。
この時僕は、ただ二人を眺めていた。
「あなた、名は?」
ローズが言う。
「……関係、ないだろ…」
見知らぬ二人に名前を言うつもりはなかったし、関わりたくもなかった。
僕の胸の奥には、
紗知しかいないから。