蝶と空






美しい?


僕が。





こんなにボロボロで



もう何もかも

無惨になくなっているのに



バカじゃないのか



僕はふと笑った。



そして


「美しさって、なんだよ」



彼女から目をそらして言う。







すると彼女は、


「美しさはね、自分が気付かない時にでるものなの。あなた、今すごく美しいもの」




僕の目をはなさないで言った。









「私はローズよ。こっちは、執事のタカ」



そう言うと、"タカ"は僕にそっと頭を下げた。





この時僕は、ただ二人を眺めていた。






「あなた、名は?」


ローズが言う。





「……関係、ないだろ…」


見知らぬ二人に名前を言うつもりはなかったし、関わりたくもなかった。


僕の胸の奥には、


紗知しかいないから。









< 50 / 112 >

この作品をシェア

pagetop