蝶と空
ローズ。
そんな名前、今どきあるかよなんて普通は思うのかもしれない。
でも、ローズ君はまるでフランス人形のようだ。きっと、ハーフか何かなんだろう。
日本人離れした小さな顔は、別に名前がローズでも違和感を持たせなかった。
そして、タカ。
細身の彼には白いひげがよく似合っていて、常にローズの少し後ろを歩いていく執事。
本当にローズを大事そうに見守っているように。
「お嬢様」
彼はローズをそう呼んでいた。
「あなたの心には、だれかいるわね。でもその子はあなたを置いて遠くに行ってしまったわ」
「な…」
僕は急の言葉に、唖然とした。
もちろんローズの言うとうりというのもあったけど、心の深い所に沈めた紗知が急に出てきたからだった。
急に、焦る僕。
ローズは自分よりだいぶ背が低くくて童顔だけど、その蒼い目だけは。
何もかも見透かすような、
鋭く大人な目をしている。
その蒼い目がこわくて
僕はすぐに目をそむける。
「図星ね」
彼女はそう言ってまた僕を、真剣な顔で見た。