蝶と空



転校した。


手続きはすべてタカがやってくれた。



ローズの家は遠いところにあった



海のすぐ近く。




すごく

大きい家。


アンティーク調の綺麗な部屋がならぶ。




ローズの部屋は一番奥にあって

ベッドを中心に小さなテーブルや椅子がある。


戸棚には、ズラリと色とりどりの美しいフランス人形だけがならんでいた。




「ここは、あなたの部屋でもあるわ」




そうローズが言った。



だから俺はここで眠り


目覚める。





いつもローズといる





俺はローズを愛する。




愛することで



悲しみを忘れる






母さんや

父さんの


赤い血も




学校で目立つことも







紗知の


笑顔も

駆ける足音も

泣き顔も








俺は忘れる



ローズだけを愛する








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