蝶と空
「お嬢様、点滴の時間でございます」
「ありがとう、タカ」
ローズは一日に一回、ベッドの上で点滴を受ける。
それは、病気だからじゃない。
成長しないため。
外見が、成長しないため。
体が成長しないため。
母親に小さいころから薬をたくさん飲まされていたローズは、今も飲まなければバランスが崩れるんだという。
本当は成長したかったと
大人の姿になりたかったと
ローズは涙を落としたこともある
「空のように成長したかった…でも母さんが…異常なほど過保護だったの…この体は、顔は、一生変わらないのよ」
「大丈夫。ローズは美しいから。俺とタカが愛しているから…」
「うん…」
そうして
日々を過ごしてゆく
新しい学校には、あまり行かない
タカが学校の大きな援助をしているから、行かなくても卒業できる。
タカはいつも俺とローズを、一番に大切に思ってくれてる。
幸せなのか
幸せじゃないのかなんて
分からないけど
いなくなったりしない、誰も。
俺を必要としてくれている