蝶と空
さよなら、
紗知。
もう君を思い出すことも
感じることもないだろう
そう思ったのに。
時が経って高校生になった。
両親の事情かなんかで、ローズとタカがフランスへ行ったとき
俺は初めて二日間、広い家で一人になった。
久しぶりの一人だった
一緒に行こうと言われたけれど、飛行機や旅行は好きじゃない。
もちろんタカは行かなきゃいけない。
執事だし
なによりローズの点滴をうつことができるのは、タカだけだから。
広い家に一人が嫌だった。
怖くなった。
だから海風に当たろうと
外でフラフラと散歩してた
そんなときに海沿いで
走ってきたひと
泣きながら
うめきながら
紗知。すぐにわかった
頭に激痛が走った