蝶と空
忘れるつもりだったのに
僕は君を忘れて
君は僕を忘れて
それでよかったのに
僕は君を思い出してしまった
果てには家に泊めて助けて。
父親に殺された母親たちの記憶のない紗知は、幸せなはずなのに。
新しい母親とうまくいってないのだろうか
窮屈そうに見える。
愛しい紗知
思い出してと
僕を覚えているかと
何度も言いそうになった
抱きしめて癒してやりたくて
しょうがなかった
さよなら
また、さよならしよう
紗知が家に泊まって
一日。
眩しい太陽が当たる朝。
光輝く海と
真っ青な空に向かって
歩く紗知を見て
深いため息をつく。
バカだ、俺は。
紗知が思い出したらどうすんだよ
紗知がまた泣くだろ
眩しい光に照らされる紗知を背に
暗い家の扉を閉めた。