蝶と空


「ねぇお母さん」

「どうしたの?」

「…ううん。なんでもない」

「そう?ほら、早く行こう。もうすぐ着くわよ」


「うん」





やっぱり、お母さんには言えなかった。


時々、激しい頭痛がすること。



すごく痛くて、授業中に何度か保健室にいたこともある。


普通の痛みじゃないあの頭痛は、頭の奥から響いて動けないほど。


でも…またお母さんに言ったら、どんなに心配されるか。


もう疲れたの。


友達関係も

勉強も

親子の会話も



何もせずにただ生きていたい…



最近、そんなふうに思うようになってきた。




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