蝶と空
登校する道は
いまだに好きになれなくて─。
「そういえばさ、二組の荒井が話したいって言ってたけど…やっぱり断るよね?」
私と美樹が、廊下で時間を潰しているときだった。
美樹が隣で、遠慮がちにそう言った。
「あ…うん。ごめんね」
「紗知と話したいって言ってあたしに近づいてきたやつ、これで五人目だよ。一人ぐらい話してみたら?新しい発見があるかもよ」
「うん、そうなんだけど…ちょっとそういう気分じゃなくて」
「そっか…。うん。紗知は紗知のペースがあるもんねっ。ごめん!」
「ううん!いいの…謝らなくちゃいけないのは、私の方だから…」
本当に最近そういうのが多くて困ってしまう。
美樹はモテていいなとか言ってくるけど、私はよく分からない
そんなこと
してる余裕がない。
恋愛にすごく抵抗がある。
何かが違う…。
私はそればかりで。
みんなの恋愛に対する思いはどんなものなんだろう。
「いいな紗知はモテて〜。あたしなんてさ、自分からアピらないと誰も近づいて来ないの」
「そんなこと、ないよ!」
はぁ、疲れた。
慰めの言葉っていちいち疲れる。