蝶と空


私は小説のジャンルから、写真集のジャンルへ移っていたことに気付いた。



「あ…空」


私は写真集の中で、空ばかりを撮った写真集を見つけた。


なぜか分からないけれど


自然に手に取って


重いページをひらく。



適当にひらいたそのページは、白に近く薄いスカイブルーの空だった。


数少ない雲の周りから光が溢れ、さらにその色はワントーン明るくなっている。


美しい


空だった



まるで


あの少年のように。



儚く

美しい



でも今あの少年には、光がない。


だからきっと悲しい色に見えるんだ。






私は制服のポケットに手を入れ、小さなピアスを出した。


淡い、紫の花。


それはあなたからもらったもの…





あなたは今何処にいて、何を思っているのだろうか。


< 75 / 112 >

この作品をシェア

pagetop