蝶と空
私は小説のジャンルから、写真集のジャンルへ移っていたことに気付いた。
「あ…空」
私は写真集の中で、空ばかりを撮った写真集を見つけた。
なぜか分からないけれど
自然に手に取って
重いページをひらく。
適当にひらいたそのページは、白に近く薄いスカイブルーの空だった。
数少ない雲の周りから光が溢れ、さらにその色はワントーン明るくなっている。
美しい
空だった
まるで
あの少年のように。
儚く
美しい
でも今あの少年には、光がない。
だからきっと悲しい色に見えるんだ。
私は制服のポケットに手を入れ、小さなピアスを出した。
淡い、紫の花。
それはあなたからもらったもの…
あなたは今何処にいて、何を思っているのだろうか。