蝶と空


自分で開いた空のページに

ぽたぽたと涙が落ちた。




「…うっ…うぅ…」



声にして泣きたい気持が



静かに水滴になっていく。









私はその場で


音を立てずに泣き崩れた。






名前もきかなかった。


ありがとうしか言えなかった。



どこか懐かしくて

安心できるんだ、

君のそばにいると。


たった一日しか一緒にいなかったはずなのに、初めて会った気がしなくて。






この時私は


初めて気付いた。






"彼が愛しい"



恋なんて言葉じゃ表現できない


ううん


愛も、恋も


好きとか

愛してるとか



言葉なんてものじゃ駄目で。




私のすべてが


脳が 体が 細胞が


彼を愛しいと叫んでいる。




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