蝶と空
「あら高木さん、今日はいい天気でしょう?」
そう言って入ってきたのは、昨日カウンセラーをしていた看護婦。
朝ごはんを持ってきたんだろう。
窓を開けたのも、きっとこの人だ。
「点滴もう少しだから、頑張ってちょうだいね。何かほしいものある?」
「別に…ありません」
「そう?じゃあまたね!ちゃんとごはん、食べるのよ!」
看護婦は私の頭をポン、と軽くたたいて出ていった。
私は枕元の時計に目をやる。
時間はちょうど七時半。
みんなそろそろ学校に登校するのかな、なんて思いながら、朝ごはんに目をやった。
箸を持って、ご飯にのばすけど…
途中でやめた。
食べたくない。
私は、お腹がすかなくなっていた。