蝶と空
着信メール一件。
開くと美樹からだった。
《紗知大丈夫??急に休んだからびっくりしたよ〜》
休んだ日には必ず美樹からメールが来るんだった。
今授業中なのにな。
私は適当に返して、またベッドで眠ろうとした時。
「高木さんちょっといいかしら」
ノックもしないで入ってきた、見たこともない女の先生。
長い髪を高い位置できれいにポニーテールにしている、けっこう若い人だった。
点滴の細長い棒をカラカラと引っ張りながら女の先生に連られて来たのは、小さな部屋。
またカウンセリングなのだろうか。
もうこりごり。
「じゃあ、そこに座って」
「はい」
白い机はさんで、小さな椅子に座る。
部屋には静かでひんやりした空気が流れていた。
少しの沈黙のあと。
「あのね高木さん」
きれいにピンクのグロスの塗られた口で喋り出したのは、もちろん白衣を着た先生だった。