甘言師、臥雲旦陽の甘い毒
「…自分には全く無関係だからって…そこまで非常になれるりゆうが・・・僕にはわかりません」
やっとの思いで絞り出した言葉に、臥雲は酷くゆっくりした動作で身を前のめりにし、背中を丸めた。
両ひざの上に肘を置き、両手で顔を覆った。
何かを悔いている時や悩んでいるようにも見えた。
先輩相手に言いすぎたかと心配になる前に、臥雲が酷くゆっくりした声で言った。
「・・・うらやましいです…ご自分で終止符を打てるなんて」
その、地を這う様な静かな声色は身体中に巻き付いてくるかのようなネバっぽさを感じさせた。
理解できる言語を話しているはずなのに、国府谷には一語として理解出来なかった。
目の前の非日常に、恐怖のあまり気でも触れたか。
だが、指の隙間から微かに見える臥雲の瞳に気付き、考えが変わった。