甘言師、臥雲旦陽の甘い毒

 「あ、臥雲さん。お疲れ様です。秀由くんが答え合わせをして欲しいって」

 応接間に戻ってきた臥雲は迷惑そうに俯く国府谷を見た。

 「…俺が?」

 「臥雲さんも、うちの新人が甘言師を詐欺師のことー!なんて間違った認識をしているのは嫌でしょう?」

 「…それは本当謝ります」

 迷惑そうにしながらも、俯く国府谷の正面に座ってくれるあたり、臥雲も人がよかった。

 「…依頼人の言っていた救いって言葉、お前はどういう意味だと思う?」

 突然の質問に答えが出ず、素直にわからないと言えば鼻で笑われた。

 「…甘言堂にくる依頼人は皆、助けや救いを求めてやってくる。今回の依頼人は殺人に対しての告白と懺悔。それが救いだ」

 「え?わからないんですけど」

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