甘言師、臥雲旦陽の甘い毒
普段から無口な印象の臥雲だが、まさか依頼人の必死の告白をスルーするはずもない。・・・はず。
「…あの・・・?」
耐えきれなかったのは小野だった。
先ほどから様子を窺ってくる国府谷と小野の視線を受け流し、臥雲はさらに間を取って息を吐いた。
「…あの…無理なら…他をあたります…」
「ほか?ほかって?」
国府谷のまぬけな質問に頭を抱えたのは梅芳だが、内心臥雲も頭痛がすると頭を抱えたい気持ちでいっぱいだ。
「…他の…助けてくれる…誰かのところです…宛はありませんけど」
小野の力ない言葉に、国府谷が何を思うかなど予想するに容易かった。