甘言師、臥雲旦陽の甘い毒

 「お役に立てるよう頑張ります。具体的になにをすればいいですか?」

 身を乗り出しての質問に、小野は心底嬉しそうに顔を上げた。

 そんな二人の姿を臥雲がどんな顔で見ているかも知らずに。

 「助けてくださいと、いいましたよね」

 右手を伸ばして、人差し指を机の端におき、臥雲が呟く様に言った。

 俯いているせいで表情はわからないが、その声がやけに冷たく感じた。

 「は、はい」

 「奥さんを殺したとも」

 「え、ええ…私がころしました」

 三度目の告白は決意も何もなかった。

 「…ここをどこだと?」

 「…か、甘言堂(かんげんどう)と聞いています」

 「では俺達甘言師の仕事も理解していると認識しても?」

 「…たすけて、くださると…」

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