甘ーいheartを召し上がれ?【完結】
…全てを、奏弥に話した。
泣きじゃくるあたしの頭を、黙って、撫で続けてくれる奏弥。
話し終えるまで、奏弥はあたしを優しく抱きしめてくれた。
「ごめん、ね…?制服…こんなに、濡らしちゃって…」
あたしは弱々しい声で呟いて、奏弥のYシャツに触れた。
「咲姫……」
「え…?」
不意に名前を囁かれて。
Yシャツから目線を上へ向けると、
…苦しそうに、顔を歪める
奏弥の顔があった。
瞳は潤んでいて。
艶やかな、その表情は…
今、目の前に居る
奏弥の表情と同じだった。
キュッと手を握られて、
奏弥は、あたしを見詰めた。
「オマエはさ…
…俺のこと、どう見てる?」
紡がれた言葉を理解するのに、そう、時間は掛からなくて。
…正直に、素直に。
応えていいのか、あたしは迷っていた。
でも―…
「俺は、見てるよ。
オマエを、一人の…女として」
…囁かれた言葉に、あたしは鼓動を高鳴らせた。
奏弥は、ちゃんと…
あたしを、見ててくれてるの?