甘ーいheartを召し上がれ?【完結】
「ん……ふっ…く…っ」
『声、出すなよ』
そう言われた事を思い出し、あたしは必死で、声を抑える。
首筋に、鎖骨に、チクッ…と甘い痛みが走る。
その上を、奏弥の細長い指が、そっと触れる。
その度にあたしの躯は、ゾクゾクと脈打った。
…躯が、疼く。
早く……もっと、頂戴――。
「…あっ――!」
奏弥が、あたしの制服に手を掛け、ゆっくりとボタンを外していく。
そして、今、躯の疼く原因の一部に触れた。
「ひゃ…んっ」
声…出すな、って言ったんだけど。
何で咲姫は、いっつも俺を狂わせるかな…。
…あの時も、そうだった。
止まらなくなった俺に、キュッとしがみついた咲姫。
俺は我に帰り、咲姫を見詰めた。
「奏…弥――」
…そんな瞳で、俺を見詰めないでほしい。
そんな声で、俺の名前を呼ばないでほしい―…。
何故…気が付かないんだろう。
咲姫の全てが、
俺の、全てを
狂わせるのに――…。