甘ーいheartを召し上がれ?【完結】
「……ん…」
…あ…れ……
何だろう……?
頭が、ぼぉ…として…
「――…姫…?」
あ……この、声…
「奏…弥……?」
「…やっと起きたか」
どうやらあたしは、いつの間にか寝てたみたい。
目が覚めると、とても優しい
表情をした奏弥がいた。
そんな奏弥に、あたしはキュンと胸が高鳴る。
「…何、泣いてんだよ…」
「あ…ご、め…ん…」
何なんだろう…ホント。
自分の目の前で、奏弥が優しく微笑んでくれているだけなのに
…涙が、溢れて…止まらない。
「ったく…」
溜息混じりに、そう呟くと。
…奏弥は優しく、あたしを抱き寄せた。
この、体温が…香りが。
あたしを包む、長い腕。
身を委ねる、大きな胸も。
縋り付くには広すぎる、綺麗な背中さえも。
…全てが、全てが――
あたしを、安心させてくれるんだ…。
そして、いつの間にか夢中に
なってる。
もう、『東 奏弥』と言う男の
虜なの。