甘ーいheartを召し上がれ?【完結】
刺って……。


一体、何を言い出すんだ…
コイツは。



「な、なぁ!何だよ、刺って?


天使チャンが、そんな物騒なもん、持ってる訳ねェだろ!?」


少々興奮気味に、仲間の奴らは睦巳に突っ掛かった。

睦巳は微かに眉を寄せると、小さく溜息をついた。


「…だから、さ。



要するに、薔薇なんだよ。」


「…ハァ!?」


もう訳が分からない、と言うように、仲間達は心底、睦巳に疑いの目を向けた。


…だが俺には、何となく…

分かった気が…する。



彼女は薔薇なんだ。

荊(イバラ)に囲まれた、美しい薔薇。


外から見たら、綺麗で力強くて。

…でも、近くで見たら

所々枯れていて…

虫が付いていて…


儚くて、脆いんだ。


弱い自分を隠す、綺麗な容姿。

脆い自分を守る、鋭い刺―…。



今の天使は、


本当の姿じゃ


ないってことか――…?





「…おもしれェじゃん」


俺は咄嗟に


そう、小さく呟いていた…。



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