甘ーいheartを召し上がれ?【完結】
―…その日から、決まっていたのかもしれない。
奏弥は、咲姫に。
咲姫は、奏弥に。
紛れも無い、あの“感情”を抱く事が――…。
…奏弥が、あたしの家庭事情を知ったのは、
ターゲットにされて、三週目の事だ。
期限は一ヶ月だから。
奏弥は焦っていたのかもしれない。
「俺…さ、天使の事、
もっと…知りてェんだ」
最初は首を振った。
この話は、易々と人に話しちゃいけないんだ――。
でも、奏弥は
「無理ならいい」
と、素っ気なく返事をして、小さく…微笑んだ。
……ズキッ、と胸が痛んだ。
奏弥の微笑みは、たまに無性に泣きたくなる。
――どうして、そんな哀しそうな表情(カオ)をするの?
「咲…姫……?」
―…一瞬だった。
初めて名前を呼ばれたら、
いつの間にか、
奏弥の腕の中に
閉じ込められていた――。