雪の降る日に、願いを消して
ジンクス
小学校低学年の頃、転校していく友達が教えてくれたんだ。
『好きな人の名前と、その人とどうなりたいのかを黒板に書くの。みんなが登校してくるギリギリまでそれを残して置いて、登校してきたらすぐに消すの。黒板に書かれている文字を誰にも見られる事がなければ、想いは通じるんだって』
そう言ってくれたこの顔も名前も今じゃもう覚えていないけれど、その話だけはしっかりと覚えていた。
その理由は、事あるごとにそのジンクスを試していたからだった。
小学生時代に好きな人と言っても、友達からほんの少し上を行く存在というだけだった。
クラスメートの○○君が好き。
担任の先生が好き。
近所のお兄さんが好き。
好きという気持ちがとても軽かったあの頃、あたしはその度に教えてもらったジンクスを実践していた。
しかし、誰にも見られない内に黒板に書いた文字を消すと言う事が難しくて、書いている途中でクラスメートたちに見つかってしまう事が多かった。
集団登校をしていたのだから今思えばそれは当たり前の事だったんだけれど、あの頃のあたしは好きな気持ちが伝わらないのはジンクスに失敗したからだと、本気で思っていた。
『好きな人の名前と、その人とどうなりたいのかを黒板に書くの。みんなが登校してくるギリギリまでそれを残して置いて、登校してきたらすぐに消すの。黒板に書かれている文字を誰にも見られる事がなければ、想いは通じるんだって』
そう言ってくれたこの顔も名前も今じゃもう覚えていないけれど、その話だけはしっかりと覚えていた。
その理由は、事あるごとにそのジンクスを試していたからだった。
小学生時代に好きな人と言っても、友達からほんの少し上を行く存在というだけだった。
クラスメートの○○君が好き。
担任の先生が好き。
近所のお兄さんが好き。
好きという気持ちがとても軽かったあの頃、あたしはその度に教えてもらったジンクスを実践していた。
しかし、誰にも見られない内に黒板に書いた文字を消すと言う事が難しくて、書いている途中でクラスメートたちに見つかってしまう事が多かった。
集団登校をしていたのだから今思えばそれは当たり前の事だったんだけれど、あの頃のあたしは好きな気持ちが伝わらないのはジンクスに失敗したからだと、本気で思っていた。