雪の降る日に、願いを消して
目の前にいる聡樹の申し訳なくて、あたしはすぐに頭の中の駿をかき消した。


「あたしのお母さん、聡樹が来ると嬉しそうなんだよね」


「そうなのか? そんなの、毎日だって来てやるぞ?」


おどけてそう言う聡樹にあたしは笑った。


きっと、お母さんは聡樹の事を気に入っている。


幼馴染だし、サッカーに熱心なところをよく見てきているからだろう。


あたしと聡樹が付き合っていると知ったら、それこそ赤飯でも作って喜びそうだ。


あたしが選んだ道は、きっと間違っていない。


これがみんなで幸せになれる選択だったに違いない。


あたしは目の前にいてくれる聡樹を見て、そう感じたのだった。
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