雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆

ボーリングの結果は聡樹のボロ負けだった。


「くっそぉ! なんだよもう!」


ボーリング場からでた聡樹は子供のように悔しがっている。


そんな様子を見てあたしは声を上げて笑った。


あたしは連続でストライクを出し、景品に大きなウサギのぬいぐるみまでもらってしまった。


「今日はたまたま調子が良かっただけだよ」


そう言って聡樹を慰めて見ても、聡樹は更に悔しそうな顔をするだけだった。


「次はカラオケだ! カラオケ!」


半分ヤケになってそう言い、あたしの手を掴んで歩き出す。


カラオケ店まではここから歩いて5分ほどだ。


「その前にお腹減ったよ。もうお昼すぎたよね?」


「あ、あぁ。そういやそうだな」


スマホを確認して聡樹が頷く。


カラオケ店まで行ってなにか注文してもいいけれど、周囲には飲食店も多く立ち並んでいる。


「鈴、なにか食べたい物があるか?」


「あたしはなんでもいいよ、聡樹は?」


「俺だってなんでもいいよ」


お互いに譲り合っているのか、それとも本当になんでもいいのかわからず、その場に立ち止まった。
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