雪の降る日に、願いを消して
「そんなワケないのにね」


あたしは当時の事を思い出してそう呟き、1人で笑った。


高校生になったあたしは当然ジンクスなんて信じてはいなかった。


だけど、なにかに頼りたい。


なにかにこの想いを託したいという気持ちはあった。


それが神様だろうが仏様だろうが、どうでもよかった。


単純に、朝起きて学校へ行く準備をしている間に、当時聞いたジンクスを思い出したから。


ということがキッカケだった。


朝の寒さに両手をこすり合わせながら学校へと向かう。


いつもより15分早く家を出たので、周囲は少し景色が違った。


いつも通りすがるサラリーマンがいない。


車道を行く車も、野良猫もいない。


たったそれだけで世界が違っているように見えて、あたしの歩調はどんどん速くなっていく。


早足で歩いている内に体温は上がってきて、指先まで暖かくなってきた。


そのままの歩調で校門を入り、下駄箱へと滑り込んだ。


1年1組の下駄箱を確認すると、まだ誰も来ていない。


やった!


一番乗りだ!
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