雪の降る日に、願いを消して
付き合わない
ファミレスは沢山のお客さんたちで賑わっていた。


それでも幸い2人席は空いていて、すぐに座る事ができた。


こうして聡樹と向かい合ってご飯を食べるなんて、初めての事かもしれない。


いつも他に誰かが一緒にいて、みんなでワイワイはしゃぎながらご飯を食べていた。


「鈴、なに食べる?」


そう聞いきながら、広げたメニューをあたしの方へ向けてくれる聡樹。


そういう自然な優しさに今更ながら気がついて行く。


あたしはハンバーグを、聡樹はパスタを注文した。


注文の時にも聡樹が店員さんに伝えてくれて、フリードリンクはあたしの分のまで持って来てくれる。


何が飲みたいか伝えていなかったのに、あたしの好きなカルピスを持って来てくれた。


「聡樹って、あたしの事よく見てくれてるんだね」


カルピスをひと口飲んでそう言った。


「は? なんだよいきなり」


聡樹はウーロン茶だ。


「あたしがカルピスが好きだって知ってたんだ?」


「あ、あぁ。お前みんなと出かけた時にいつも飲んでるから、自然と覚えた」


そう言い、照れくさそうに頭をかく聡樹。


自然と覚えたということは、いつも見てくれていたと言う事だ。


そんな些細な事が嬉しく感じられて、ご飯を食べている最中も会話は途切れる事はなかったのだった。
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