雪の降る日に、願いを消して
本当はとてもいい子なのだと言う事が伺えた。


「てっきり彼女かと思ったよ」


聡樹が駿を睨んでそう言った。


きっと嫌味のつもりで言ったんだろう。


それに反応したのは萌ちゃんの方だった。


「お兄ちゃんは誰とも付き合わないから」


強い口調でそう言い切る萌ちゃん。


「は?」


聡樹は怪訝そうな表情を浮かべて首をかしげる。


「言った通りだよ。お兄ちゃんは誰とも付き合わない」



萌ちゃんはまた同じ事を繰り返した。


妹の嫉妬心からそんな事を言っているのかと思ったが、隣にいる駿は何も言わない。


ただほほ笑んで萌ちゃんの事を見ているだけだった。


「じゃぁ、行こうか萌」


スマホで時間を確認した駿はそう言い、萌ちゃんと2人であたしたちの横をすり抜けて行ってしまったのだった。
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