雪の降る日に、願いを消して
応援する
戦隊アニメの曲に対しての返事が『聡樹の事好きだよ』だったなんて、聡樹本人はどう思ったんだろう?


自分がそばにいるのにあたしの心は別の場所にある。


それを感じて、どんな気持ちになったんだろう?


聡樹がいくら気をきかせてくれても、いくら好きだと言ってくれても、あたしはそれに答えることができない。


なんで駿なんかの事がこんなに好きなのか、自分でも不思議になってしまうくらいだった。


あたしは聡樹に家まで送って帰ってもらうと、体がずっしりと重たくなるのを感じた。


何もしたくない。


何も考えたくない。


まだ早い時間だったけれど、部屋の電気を消してベッドに入った。


布団を頭まで被り、目を閉じる。


聡樹は明日も会おうと誘ってくれた。


今日のデートは散々だったはずなのに、嫌われて当然な事をしてしまったのに、聡樹は笑顔でそう言ってくれた。


だけど、あたしはもうそれに答える事はできなかった。
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